毎年9月27日になると必ず思い出すこと。
どうも、ユークレイル・エイト代表の藤田です。うな男としてプールで飼ってくれる彼女がほしい。
9月23日にブログを立ち上げ、定番のごあいさつ記事を書いてから4日が経過しました。既に私の回りでは「どうせまたもう更新されないんだろう」というササヤキが聞こえ始めています。
私自身、400字詰め原稿用紙1枚埋めるのに2時間は掛かる遅筆で、いままでなかなかブログを続けられなかった(*1)自覚はあって、どうやれば続けられるんだろう、と考えている最中、タイミング良くブログを続けることに関する記事が上がっていました。
テーマ選び、読んで意味のある記事、差別化、中の人のキャラ設定……。うーん難しい。さらにはSEOやデザインカスタマイズ(むしろ私はそれらが専門)といった、サブの技術的部分も絡んでくるわけです。
「作業が極端に遅い上に異常な凝り性」という、明確な締め切りを設定されないとモノを作り上げられないクリエイターもどきの性格を持つ私にとって、これはもう考える要素が多すぎるではないか……。
なんてことを考え、頭を抱えながらふとカレンダーを見ると、ブログ開設日から4日が経ち、9月27日になっていました。
……9月27日かあ。
あれから25年も経つんだなあ。
というわけで。すいません。このブログの実質1記事目は、思い出話をさせてください(笑)。
1992年9月27日(日)
この日付だけで何か分かる人はほぼいないと思いますが、この日はSFCソフト「ドラゴンクエスト5」の発売日でした。
当時はゲームの流通状況が今とは違い、人気タイトルでも初期出荷の絶対量そのものが少なかった上に(*2)、販売店側も入荷数が直前まで分からず予約も受け付けていないため、発売日の朝(あるいは前日の夜)から販売店に並ぶ、というのが常識でした。
片田舎の小学6年生だった私にとって、親を始めとした大人の介在しない中で「ドラクエ5を発売日に買う」なんてのは、まさに一つの夢。しかもそもそも発売予定日は5月31日だったんですが、延期された上での9月27日だったりと、待たされたぶん、当時の自分の中でハンパない盛り上がりだったことを覚えています。
発売日に入手するために手を尽くした
夏休みが明けて9月に入ってから、私の「ドラクエ5を発売日に手に入れる計画」がスタートしました。
カセットの価格は9,600円(税別*3)。元々の発売日だった5月に買うつもりでお年玉を温存してあったため、資金はあります(9月まで我慢できた当時の自分はエラい)。行動範囲内にある販売店3軒(おもちゃ屋やゲームショップ)では予約を受け付けていないことを確認したので、前日の26日(土)、半ドンの学校から帰ってきたあとの行動をいかに最適化するかに焦点を絞りました。
行動チャートを作った
まず、前日と当日の行動チャートを作りました。前日に出た宿題量によって宿題を片付けるタイミングを変えたり、起床時間を30分刻みで割って寝坊に対応するなど、当時の自分が思いつく限りのインシデント(*4)を盛り込み、可能な限り「諦める」という判断をしないように組み立てました。
さらに、並ぶ候補となる3軒の販売店には当日起きてすぐ偵察に行くことにし、それには当時家族内での義務だった犬の散歩をセットにした上、効率的な偵察経路も考えるなど、ゲームが嫌いだった母親の目をすり抜ける要素も盛り込んでいました。
これらの行動チャートや対応すべきイレギュラーな事象などをA2サイズの模造紙に手書きでまとめ、自分の机の前に貼っておきました(*5)。
思わぬ邪魔が入った
その後は対応すべき要素を思いつくごとに模造紙のマイナーアップを続けていたんですが、発売まで1週間を切った頃、町内の子供会の役員のオバサンが家にやってきて、私にこう告げました。
「夏休みに作ってもらった町内の壁新聞、入賞したから。表彰式出てね」
表彰式は、27日(日)でした。計画にはたくさんのインシデント対応を盛り込んできましたが、これは完全に想定外。そもそも日曜日で、学校がないから立てられた計画です。「イレギュラーな学校行事の予定が入る」ことは全く頭になかった。
くそ、貴重な夏休みの数日使って作りたくもないモンを作らされた上に、なんで私の計画まで潰されにゃならんのだ。
思わぬ助けも入る
絶句していると、母が急に割り込んできて、オバサンに告げました。
「この子、その日用があるんや。誰か他の子行かせればいいやろ?」
町内壁新聞作りの形式的リーダーだった私が表彰式に出ないことで、母とオバサンはだいぶモメたようですが、ひとまず表彰式には出なくて済むことになりました。
どうやら母は、机の前に貼ったチャート模造紙をバッチリ見ており、ただゲームを買いたいだけでなく、それを実行する前にやるべきこと(宿題や犬の散歩)をすべて片付ける計画でいたため、良しと判断したようです。
ゲームが嫌いだった母が、こういう形で盾になって応援してくれたのが嬉しかったのと同時に、敵と思っていた者でも、ちゃんと納得させさえすれば味方になってくれることを、このとき学びました。
そしてドラクエ5発売当日
当日はスムーズでした。宿題もそれほど多くなく前日のうちに片付け、当日はそもそもテンション上がってるので目標起床時刻の1時間も早く目が覚め(笑)、犬を連れて偵察に出た1軒目の販売店(新しく開店したおもちゃ屋)で入荷数が明記された張り紙を見つけ、既に並んでいた人数から「すぐに並べば買える」と判断。
速攻で家に戻ってお金を持ち、販売店に並び始めたのが9時ごろ。10時に整理券が配布され、その2時間後には家のテレビで、ファミコンと比べるとグラフィックもサウンドも格段にキレイになった、新世代のドラクエを堪能していました。
ちなみに、壁新聞の表彰式には私の代わりに町内の悪ガキ2人組が出席し、じっとしていられず式中に受け取った盾に掛かっていたリボンをほどいてお互いの首を絞めあう遊びを始め、子供会役員のオバサンが後で市の偉い人から注意される事態に。けっこう後々まで、オバサンにはネチネチと文句を言われ続けました(笑)。
まとめ
こうして改めて書いてみると、この小学6年生の時の成功体験が、今の私の行動原理に深く結びついていることを実感します。何をするにも最初に詳細な計画を立てるあたり、25年前と何も変わってません。
思えばこの「ドラクエ5を発売日に手に入れる計画」は、私の人生で初めての、親や先生などの目上の命令ではない自分の意思による能動的な行動でした。
さらに、子供会役員のオバサンが持ってきた表彰式のように、大人の命令に対して「明確に拒否」を示した最初の経験だったとも思います。
あの頃は「大人の抑圧」があったが故に、自分の中の欲望に対するモチベーションがすごかった。しかし自分が大人になり、フリーランスという将来の不安以外あまり抑圧を受けない立場になると、明確な締め切りや具体的な目標値のない「欲望の実現」「計画の達成」に対する熱が、今ひとつ盛り上がっていかないことを実感します。これはいけませんね。
私にとって、モノゴトを実現するのに一番必要なのは「誰かにそれを理不尽に抑えつけられること」なのかも知れません。
と言うわけで、ユークレイル・エイトのブログ、実質の最初の記事でした。お読みいただき、ありがとうございました!
結局メッチャ長文やんけ!! 3時間半もかかってもーたやんけ!!!