復活パターンをさがしています

30代半ばで盛大に人生に躓いた北陸在住の個人事業主が、人生の復活パターンを求めて彷徨うブログ。

自動車教習所で、予約システムのバグを突いてモメた話。 【前編】

 どうも、人生流浪中の藤田です。ネコバスに乗って旅に出たい。でも多分乗ったら人間の世界には戻ってこられない。


 さて、先日こんなニュースが流れてました。


www.itmedia.co.jp

 金融業界の内部にいる人間が業務中に発見したシステムの欠陥を悪用し、11億円もの金を詐取。貸借対照表に何の齟齬も発生させない形だったため銀行側も気づかなかった中、国税当局が気づいて指摘し(ココが一番スゴいと言われてます)、詐取した犯人は関与を認め、警視庁捜査二課(いわゆる知能班対策チームですね)に逮捕されたという事件です。


 コレは完全に犯罪(しかも金額パネェ)ですが、実生活の中でいざ「自分に有利になる形でシステムのバグを突ける立場」に立つと、人間は多分、それを利用せずにはいられなくなります。

 武器を持つと無意味に使いたくなるものなのです。


 今回は私が偶然その立場となり、そしてかなりやらかし、今となっては大いに反省している、今から10年前のお話です。


 その前にお断り。ひとネタでブログ記事を複数に分けることはあまりしたくなかったんですが、今回はエピソードが長くなってしまったので前後編に分けさせてください。複雑な内容でも簡潔に書ける文章力を早く身につけたい。


地元に戻ったら免許が必要になった

 私は学生時代と新社会人時代の7年間を県外で過ごし、10年前に一身上の都合で地元の福井に帰ってきました。当初はすぐにまた県外に出るつもりだったんですが、両親の引き留めもあり、結局福井に留まることになりました。


 で、実は私、その時点で車の免許を持ってませんでした。そもそも持病レベルに乗り物酔いがヒドくて車が好きではなかったこと、7年間過ごした県外では、移動が自転車と公共交通機関で充分に賄えたことなどから、免許を取得する必要はないと判断していたためです。


 しかし、2004年前後から架空請求詐欺が横行した結果、身分証明書としての免許証が必要になるシーンが実生活の中で増えてきたり、さらに福井は電車もバスも貧弱で車は必須、かつ免許を持っていない成人の男など人間と見なされないフシすらあるので(この土地柄は今でも嫌い)、わりとイヤイヤながら教習所に通うことにしました。


 今なら合宿という手もあるんですが、当時はほぼ無職状態で時間があったので、現地の教習所の「固定価格コース」(少し割高だが、教習期間内であれば何時間教習で車に乗ろうが免許取得までは追加料金が発生しない)で通い始めました。


 まあ、そもそもがイヤイヤなので、自分の知識欲が満たせる座学の学科教習はともかく、実際に車に乗る技能教習は予想通りウルトラ下ッ手クソで、最低15時間の技能教習で済む第1段階を、なんと30時間以上かけてようやくクリアするという有様でした。


ケータイ予約サイトの存在

 こんな状態だったので、とにかく早く免許を取るためには、技能教習の予約をたくさん入れなければなりません。


 しかし、技能教習は一人一日2時間までと決まっていた上に、私が通い始めた時期は、ちょうど進路が決まった高校生が通う時期と重なっており、なかなか希望の時間枠に予約を入れることができませんでした(午前中なら空きがあったが、この頃は朝に寝て夕方前に起きる完全夜型人間だった)。


 そんな時に利用していたのが、この教習所が公開していた「ケータイ予約サイト」です。


 事前に知らされたIDをパスワードを使って、ケータイ(当時はほぼガラケー100%)から予約サイトにアクセスすると、現在の予約状況を閲覧でき、その時点から2時間先以降で空いている枠があれば、その場で予約を入れることができます。


 当時はケータイを持っていない高校生もまだ多く(田舎ですし)、ほとんどの生徒が教習所現地に置かれた端末から予約を入れていたんですが、26才無職だった私は1時間に数回もサイトをチェックし、キャンセルが発生して突然枠が空くのを見計らって予約を入れる、という戦略を採っていました。


システムの挙動がおかしい

 ある夜、ヒマに飽かして、そのケータイ予約サイトの全ページを表示させていたところ、普段なら予約で埋まっている午後の時間帯がガラ空きになっていました。その時はラッキーと思いつつ一番混む夕方の枠を予約し、次の日、教習所に向かいました。


 普通に、いつも通りの一番混む時間帯です。待合室内は高校生でごった返し、いつも通りの喧噪だったんですが、特に今日は数人の女の子が、端末の前でひときわ騒いでいます。


 耳に入ってくる言葉は、予約入れたはずなのに入ってない、なんかミスったんかな、あー最悪やー、等々。


 まあ「もしかして」とは思いましたが、なんとなく、この時点で察しがついてしまいました。こんな混み合う時間帯、前日に予約がガラ空きになるワケがないもの。


 その女の子には何も告げずにその日の教習を済ませて家に帰り、予約サイトの挙動を改めてチェック。具体的な方法はもう忘れてしまいましたが、いくつかの画面遷移を経ることで、その日だけではなく次の日も、さらにはほぼ予約が取れない休日に至っても、全時間帯で予約が取れる状態になることを確認しました。


 推測するに、おそらく画面遷移がトリガーとなって、何かのタイミングでセッションに保存された情報が狂ってDBが正しく参照できなくなり、全時間帯の予約数が0件で返った結果、予約の可否を表示するところで無条件に「可」が表示されてしまった、ってところでしょう。


 そして、本来なら埋まっている枠に対してムリヤリ予約を入れる処理が走った結果、私の予約が枠に割り込み、はずみであの女の子の予約が弾かれる結果になったと。


 とにかく、私が偶然バグを突いた(あるいはデバッグモードを呼び起こしてしまった)ことは明白でした。


そしてやりすぎた

 これはもう、知略と運が必要な教習所予約の争奪戦で、何をどうとでもできるジョーカーカードを手に入れてしまったようなもので、好きな時間帯に予約を入れまくりました。


 自由に予約を入れられるようになったことで大いに気も緩み、入れた予約をすっぽかすことも多くなりました。


 そしてバグ予約を使うようになってから2週間ほど経った12月のはじめ、「君の予約の入れ方がおかしい」という理由で教習所側に呼び出されました。まあ当然ですね。その場でバグ予約の実演をしてみせ、「早急な対処をした方がいいですよ」と、自分では「システム屋として独立しようとしている1ユーザーの意見」として、教習所側にアドバイスを差し上げたつもりでした。


 ところが教習所側は、こう言ってきたのです。


「これは不正な予約や。今まで君がキャンセルした分(すっぽかした分)、キャンセル料をもらわなあかん」


【2016/11/09 22:43追記】

 後編アップしました。

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